グループ法人税制|グループ法人単体税制と清算所得課税の廃止

いよいよ10月1日からグループ法人課税が始まります

この税制は100%支配の会社間の取引について

1.資産の譲渡損益の繰り延べ

2.寄附金の寄付側は税務上費用とできない、受け取る側は収益とできない

3.配当の収入は税金計算上、収入にあげる金額がなしで済むのであるが

その際の配当収入より差し引く借入金の利息を計算に入れなくてよくなった。

4.自己株式として取得されること予定して取得した自己株式には配当収入の特典はつかない

といったことがあります。

 

受贈益の益金不算入制度 調査等の認定寄附に対する受贈益も対象

更正の請求を行わなくとも適用されることに

グループ法人税制では,法人による完全支配関係のある法人間による10月1日以後の寄附について,寄附の支出側で全額損金不算入となり,受領側で全額益金不算入となります( 法法25条の2 , 37条 )。

寄附金に関しては税務調査で認定されるケースがありますが,法人による完全支配関係のある法人間の場合,今後は全額損金不算入となるその一方で,寄附を受けた側において全額益金不算入となるとのことです。

しかも,受贈益の益金不算入となる納税者側では,更正の請求を行わなくても益金不算入は適用となるようです。

ただ,所得金額に影響があることから,申告書等について確認されることになるでしょう。

 

認定寄附金も寄附側では損金不算入

従来から税務調査では親子会社間での,商品の販売,資産譲渡,貸付,債権放棄,人員派遣の供与等について実質的な贈与や無償供与とされ,寄附金と指摘されることが多いです。寄附金と認定された場合で,100%企業グループ間での寄附であれば今後,全額損金不算入となります。

 

受贈益と寄附金では表裏の関係

受贈益の定義と寄附金の定義は表裏一体ですから,寄附金と認定された額については受領側の法人において受贈益の益金不算入に該当するとのことです。

 

申告書等のチェック後で減額更正が行われることに

さらに,寄附金認定に対する受贈益の益金不算入については,受領側法人にて更正の請求を行なわなくても減額更正されます。

しかし,更正の請求や調査等で減額更正となったケースでは現在,所得金額が変動するため,すぐに減額更正が行われてはいません。今後の寄附金認定に係るケースも,受領側法人において申告書やその他必要な事項についてチェックや調査等が行われる模様であるため,すぐに減額更正されないようです。

なお,受贈益の益金不算入は今年度新たに措置されたものであり,課税当局の間での寄附金に関する連絡手段等については現在,検討段階にあるという話です。

 

グループ法人単体税制と清算所得課税の廃止

平成22年10月1日以降に解散する内国法人について、現行の清算所得課税方式から通常の所得課税方式へと変更されます。「清算所得課税」とは、残余財産の価額から解散時の資本金等の額と利益積立金等の額の合計額を控除した金額に対して課税する制度のことです。

これを廃止し、各事業年度の所得に対して課税することになります。

これから解散を予定している法人は、清算時に負担する税金が従来よりも多額に発生する可能性が出てきます。

会社の解散後は、解散前までと異なり、その存在目的は、それまでの営業活動から会社の財産を整理することだけになります。この目的の変化を考えるのであれば、清算中は清算所得課税方式による課税所得計算のほうが実態に合った課税方式だといえます。

しかし、実際には清算に時間がかかるため、残余財産確定までに事実上営業が継続されていたり、清算中に多額の役員退職金や交際費が支出されているケースがあります。そこで、課税の中立性や公平性を図るために、平成22年度税制改正において清算所得課税が廃止され、清算中についても通常の所得課税を行うことになりました。

 

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