棚卸資産の評価損を計上できる場合|著しい陳腐化

 

棚卸商品のうち、将来、通常の価額で販売できないことが過去の実績等からみて明らかであれば、評価損の計上は可能です。

ただし、損金経理が条件となります。

税務上、棚卸資産の評価は、取得時の価額で行うことになっています。(取得原価主義といいます)

そのため、特定の事実が生じた場合を除き、期末において資産の評価損を計上することは認められません。

ここで、特定の事実の一つとして、棚卸資産が著しく陳腐化したことがあげられます。

「著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにも関わらず、経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいいます。

【評価損の計上が認められる「著しい陳腐化」】

1.いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。

2.その商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、形式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、その商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。

 

極めて流行性が高く、時期を逃すと流行遅れとなって、今後、通常の価額では販売できなくなることが過去の実績等から明らかな場合には、評価損の計上が認められます。

また、次のようなケースも著しい陳腐化と同様に取り扱われます。

※破損、型崩れ、棚ざらし、品質変化等により通常の方法によって販売できなくなったこと

評価損を計上するためには、過去の売買実績、特に当期末近くでの売買実績が参考にされます。

 

【参考:法人税法基本通達9-1-4 棚卸資産の著しい陳腐化の例示】

9-1-4 令第68条第1項第1号ロ《評価損の計上ができる著しい陳腐化》に規定する「当該資産が著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいうのであるから、例えば商品について次のような事実が生じた場合がこれに該当する。

(1) いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。

(2) 当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。

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