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自宅相続|土地の路線価と旗竿地やセットバックなど不整形地の土地評価見直し

土曜日, 3月 27th, 2021

相続や贈与では土地の「時価」を求めて、それを参考に税金などを計算します。

このときの基準となるのが「路線価(ろせんか)」です。

この路線価は、だれがどのように決めるのでしょうか?

路線価とは

国や地方自治体が定期的に公表する、土地の公的な価格の一つです。

相続税を計算する際に使われるため、「相続税評価額」とも呼ばれます。

国税庁が原則、毎年1月1日時点の土地の価格を判定し、7月上旬に公表します。

土地の公的な価格には、路線価のほか、公示地価や基準地価、固定資産税評価額があります。

 

路線価はどのようにして決まるのか

まず、価格のベースとなるのは、別の公的な土地の価格である「公示地価」です。

公示地価は一般の土地取引での目安となるほか、公共事業で民間から土地を取得する際の補償金の基準としても使われます。

公示地価は国土交通省が全国で選定した約26,000地点の地価を不動産鑑定士に依頼して調べた結果です。

 

公示地価をどう使うのか

路線価は公示地価の80%を目安に設定します。

公示地価がない地域などは別途、不動産鑑定士の意見などをもとに決定します。

地価の評価は、住宅地であれば周囲の取引事例、商業地なら賃料や売上高なども判断材料になります。

 

なぜ公示地価の80%なのか

路線価は土地の相続や贈与の際に納税者が時価を把握する手間や費用を抑えるのが目的です。

ただ、実際の土地の価値は経済情勢などで変化し、下がることもあります。

1年間の価格変動や個別要因に配慮して、2割減額しています。

 

路線価がいくらかを知りたい場合

国税庁の「路線価」で調べることができます。

国税庁のウェブサイトでも公開しており、地域を選ぶと地図上の主要な道路に数値が記載されています。

路線価は道路ごとに価格を設定し、道路に面する土地の価値を求める仕組みです。

数値は道路に面し、整地された正方形の土地1平方メートルあたりの価格です。

そこに面積を乗じて求めます。

 

同じ値の道路に面していても単価は一律ではない

それが基本です。

ただし、同じ地域の同面積でも形状や状態により土地の価値は異なるため、ルールに基づいて補正を行います。

例えば、土地が極端に細長い形状だったり、急な斜面だったりすると、価値が割り引かれます。

補正する場合には写真や現地を調査してみて確認するほうが望ましいでしょう。

 

年1回の調査では実態のずれが生じる場合も

路線価は公表後に修正されることがあります。

国税庁は、2021年に、2020年1月時点の大阪市内の繁華街3地点(心斎橋筋2丁目、宗右衛門町、道頓堀1丁目)を4%減額する補正をしました。

新型コロナウィルスの影響で海外からの観光客が激減し、地価が大幅に下落したためです。

過去には大規模災害を受けて修正したこともあります。

 

更正の請求による還付と土地の評価

相続税の申告、納付後に申告内容を見直し、税金を減らしてもらう人は少なくありません。

この手続きを「更正の請求による還付」といい、相続開始から5年10ヶ月までなら手続きをすることが可能です。

国税庁のまとめによると、還付額がおおよそ毎年400億円前後となっています。還付理由は公表されておりませんが、還付の多くが土地評価の見直しに伴うものとみられています。

2015年の相続税の増税をきっかけに、財産が自宅と老後のための預貯金程度といった中流層にも課税対象が広がりました。国税庁の調査で相続財産の内訳をみると、土地と現金預金がそれぞれ3割強を占めています。

相続税の課税評価の際に現預金は額面で計算される一方、土地は形状や周囲の状況によって評価額を減らすことができます。

土地をどう評価するかが節税のカギを握るといってもいいでしょう。

 

不整形地の土地の評価

まず、土地の評価の基本を知っておく必要があります。

相続税で土地の資産価値を見積もる際は、国税庁が毎年発表する「路線価」を利用します。

路線価は土地が面する道路の1㎡当たりの価格で、これに相続する土地の面積を掛けて評価額を算出します。

例えば、土地が一つの道路だけに面し、路線価が30万円、面積が120㎡なら評価額は3,600万円となります。

ただし、土地は長方形や正方形といった「整形地」ばかりではありません。間口が狭かったり、奥行きが長かったりといった「不整形地」も多いです。こうした土地は一定のルールに基づいて路線価を引き下げ、節税することができます。

不整形地で都市部によくあるのが旗竿地(はたざおち)です。道路に面する部分が短く、奥にまとまった部分がある土地を指します。土地が竿についた旗のように見えるのでこのように呼ばれています。

旗竿地は路線価に1より小さい値(補正率)を掛けることで評価を下げることができます。例えば、間口3メートル、奥行き30メートルの普通住宅地であれば、路線価を約20%ほど減額できます。補正率は国税庁が定めた数字でホームページに掲載されています。

幅4メートル未満の狭い道路に面している土地も評価額を下げることができます。こうした道路は消防車や救急車が入りにくいため、原則として建物を建て替えるときに道路幅を広げなければなりません。土地の所有者は道路との境界線を後退させる必要があり、これを「セットバック」といいます。

相続税の評価では将来のセットバックを前提として計算します。該当する部分の土地の評価は70%減額できるため、都市部など地価の高いエリアでは節税効果は大きくなります。セットバックが必要かどうかは、地方自治体の建築担当部署に問い合わせをすればわかります。

自宅土地の立地状況にも注意する必要があります。自宅が面する道路と高低差があるなら、土地の評価を減らせる可能性があります。

例えば山や丘など傾斜地に造成した住宅地では、同じ道路を挟む谷側の土地は道路と同じ高さにありますが、山側の土地は道路より高いです。居住するには玄関まで階段を作って昇り降りするなどデメリットがあります。こうした場合は評価を10%減らせる可能性があります。

自宅が線路沿いに立地し振動や騒音があったり、墓地に隣接したりする場合も、税務署に「利用価値が著しく低下している」と判断されれば評価額を10%引き下げることができます。

ただし、こうしたケースも、道路と高低差がある場合もマイナス要因が路線価にすでに織り込まれていると減額できません。反映されているかどうかは管轄の税務署で確認することができます。

マイナス要因が未反映であれば土地の評価を引き下げられます。どの程度のマイナスなら認められるかについて国税庁は具体的な基準を示していないため、ケースバイケースで判断されます。

高低差のある土地では1メートル以上の差で評価減が認められたケースがある一方、3メートル程度の高低差でも評価減が認められなかったケースもあります。