節税対策|役員給与を減額|受領辞退した場合

Q.

当社の大口取引先が倒産したため、役員給与を全額支払うことができず、来月から役員給与を一律30%カットすることを取締役会で決定しました。

また事前確定届出給与についても、年末に支給予定でしたが、支払いが無理と考えられるため、役員は受領を辞退しようと考えています。

このような場合、税務上の取扱はどうなりますか?

 

A.

このような状況であれば、報酬を減額したとしても定期同額給与に該当すると考えられます。

また、事前確定届出給与については、会社で損金に計上される役員給与がなくなったにとどまり、辞退した役員の事前確定給与については、発生しなかったことにより給与収入として加算されないものと考えられます。

 

【減額した役員給与】

支給する役員給与が、定期給与の額について会社の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由により減額改定された場合には、事業年度開始の日から3ヶ月経過後であっても定期同額給与に該当します。

ここで、通常次のような減額改定は、業績悪化改定事由に該当するものとされています。

1.株主との関係上、業績や財務状況の悪化について役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合

2.取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合

3.業績や財務状況または資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合

 

【受領辞退した事前確定届出給与】

事前確定届出給与について、届出額と実際の支給額とが異なる場合には、たとえ減額したときであっても、その支給額が損金不算入になるにとどまり、減額支給した場合の減額相当額について債務免除益とする必要はないと考えられます。

また、役員が事前確定給与の支給期の到来前に受領を辞退すれば、給与所得としての課税もありません。

【参考:経営の状況の著しい悪化に類する理由 基本通達9-2-13】

9-2-13 令第69条第1項第1号ハ《定期同額給与の範囲等》に規定する「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのであるから、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないことに留意する。

 

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