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相続税の課税原因|相続と遺贈と死因贈与

土曜日, 9月 24th, 2011
相続税は、「人の死亡によって残された遺産を亡くなった人の遺族等が承継した場合に課税される税金」ですが、相続税が課税されるケースは「相続」の他、「遺贈」、「死因贈与」というケースがあります

1.相続(そうぞく)

亡くなった人が財産を誰に与えるかを決めていない場合には、民法の規定するところにより、亡くなった人の妻や子供など一定の身分関係にある人が財産を承継することになります

(1)相続により承継する財産

相続により承継する財産は土地、家屋、現金預金、株式等のプラスの財産だけでなく、被相続人の借入金や未払金等のマイナス財産も承継することとなります。相続税はプラスの財産とマイナスの財産の差額に課税されます

(2)相続の開始

相続は人の死亡によって開始されます。しかし、場合によっては人が蒸発してしまい、何年も行方知れずという場合があります。この場合には、民法では、人の行方が7年間不明の場合、利害関係者(配偶者・子供)が裁判所にその人の失踪宣告を請求できることとなっています。失踪宣告があると、その行方不明者は死亡したものとみなされ、相続が開始したこととされます

2.遺贈(いぞう)

亡くなった人が生前に、遺言書のなかで「自分が死んだら、この土地をAさんに与える」と決めていることがあります。この遺言は、人の生前における最終の意思を尊重し、これを法的に保護する制度ですが、この遺言による財産の移転を遺贈(いぞう)といいます。遺贈はその内容によって「包括遺贈」と「特定遺贈」に分けられます

(1)包括遺贈

遺産全体に対する割合を示して行う遺贈のことです。たとえば「自分の財産の1/5をAさんに与える」というような場合です

(2)特定遺贈

遺産のうち特定の目的物を指示して行う遺贈のことです。たとえば、「○○市○○所在地の土地○○㎡をAさんに与える」というような場合です

3.死因贈与(しいんぞうよ)

贈与とは、ただで物を与えること、要するに無償による財産の移転をいいます。この場合、財産を贈与しようとする人を「贈与者」といい、財産を取得した人を「受贈者」といいます。この贈与については、贈与者と受贈者の間で契約を条件に付けて、たとえば、契約書っを取り交わし、「自分が死んだら、この土地をAさんに与える」と、決めている場合があります。このように贈与ではあっても、人の死亡が条件となっている贈与のことを死因贈与といいます

一般に贈与があった場合には、贈与税が課税されることとなっていますが、死因贈与は人の死亡が原因となって財産の移転が行われるため、贈与税ではなく相続税を課税することとしています