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専従者給与|家族へ給与支払いで所得税の節税

月曜日, 3月 8th, 2010
Q

個人事業を営んでいるAさんが、事業を手伝う同一生計の親族(専従者)に対して、給料を出したいと考えているとします。支払う金額を、Aさんの事業上の経費にすることができるでしょうか?

A

それは、支払う給料が「青色事業専従者給与」に該当するかどうかによって、かわってきます。

該当する場合には、基本的に、支払った金額についてAさんの経費とすることができます。

該当しない場合には、経費にできる金額に上限があり、配偶者の場合で最大86万円、それ以外の場合は最大50万円、Aさんの所得・専従者の人数によっては、この上限がさらに下がることになります。

また、経費にするためには、専従者が1年のうち6月を越える期間、その事業に従事する必要があるのですが、「青色事業専従者給与」に該当する場合には、病気療養などのため6ヶ月を超えない場合でも、従事可能期間の2分の1を超えれば、経費として認められます。

「青色事業専従者給与」とするためには、Aさんが青色申告者であり、かつ、所轄の税務署長に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。

その他にも要件がいくつかありますので、検討をする際には詳細をしっかりと確認するようにしましょう。

 

青色申告をしている個人事業者の中には配偶者やその他の親族に対して専従者給与を支払っている人も多いと思います。

所得税は超過累進税率(課税所得が増えるほどに税率が高くなる)を採用している為、専従者給与を支払うということは所得を分散し、結果として税率が低くなり節税につながります。

しかし、よく考えて専従者給与支払わないと節税どころか税負担が増えてしまう可能性があります。

では、どのようなときに注意しなければならないのでしょうか?

①事業者本人の所得が少ないとき。

事業者本人の所得が少ない場合には、専従者給与を支払っても節税にはつながらないことがあります。

「専従者給与を支払ったら事業者本人の所得がマイナスになってしまった。」とか「事業者本人の所得より専従者給与の金額がはるかに大きくなってしまった。」と言うような場合には注意が必要です。専従者給与を支払わないほうが得かもしれません。

②「社会保険診療報酬の所得計算の特例」の適用を受けることが出来るとき。

社会保険診療報酬が5,000万円以下である医者や歯医者は、社会保険診療報酬にかかる事業所得の金額の計算上、通常の必要経費の計算にかかわらず概算経費率を選択することが出来ます。

通常の必要経費と特典経費である専従者給与の金額の合計額が、概算経費の金額を超えているため、概算経費率を選択していない医者や歯科医の方も、あえて専従者給与を支払わないで、概算経費率を選択したほうが節税となる場合があります。一度、試算してみることをお勧めします。

上記のような場合でも「専従者給与を支払う」ということは、将来的には「相続税対策」として「相続財産を減らす」効果も考えられるので専従者給与を支払ったほうが良い場合もあります。また、専従者の心情からすると「働いているのに給与をもらえないのはイヤだ。」と思う人もいるかもしれません。

しかし、専従者が事業の手伝いをしていても「専従者給与を支払わないほうが節税となる」場合があることも知っておく必要があります。