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みなし役員に該当すると賞与は損金算入にならない?

金曜日, 12月 4th, 2015

 

Q.

当社は、建築業を営む同族会社ですが、株式は代表取締役の甲が80%を所有しており、甲の妻の乙の持ち株はありません。

妻の乙は、経理事務に従事しておりますが、会社法上の役員ではありません。

このような場合、税務上、乙は役員とみなされて、賞与の損金計上はできないのでしょうか?

 

 

A.

乙が経営に従事していると認められなければ、みなし役員に該当せず、賞与の損金計上ができます。

同族会社においては、従業員であってもその従業員が同族会社の判定の基礎となる株主の同族関係者で、次の①から③までの持ち株割合の要件を全て満たしており、かつ、経営に従事していると認められる場合には、税務上、役員とみなされて賞与の金額は、損金の額に計上できません。

【みなし役員としての持株要件】

① その従業員が、その同族会社の株主グループのうち、その持株割合の最も大きい株主グループから順次その持株割合を合計した場合に、その持株割合が初めて全体の50%以上になる株主グループ(第3順位までとします)に属する者であること

② その従業員の属する株主グループの持株割合が10%を超えていること

③ その従業員の持株割合が5%を超えていること

 

今回の、事例の場合、仮に事業計画、人事、資金計画等、会社の経営上の重要な案件の決定について、乙の意思あるいは指示等が及んでいると認められている場合には乙は経営に従事していると考えれます。

 

【従業員とみなし役員の税負担の相違】

今回の事例で乙が従業員か、みなし役員かでの税負担の相違は次のとおりです。

仮に賞与を200万円支払ったとします。

1.従業員と判定・・・・・・・・・全額損金計上

2.みなし役員と判定・・・・・・全額損金不可

3.税負担の相違・・・・・・・・・200万円×35%(概算法人税実効税率)=70万円

(1)使用人兼務役員に出す賞与

役員のうち、使用人としての業務も兼任する立場の人を使用人兼務役員といいます。

「取締役営業部長」又は「取締役工場長」という様な使用人としての職制上の地位を有している役員の事です。

ただし、「取締役総務担当」の様に使用人としての職制上の地位ではなく法人の特定部門を統括している場合や、専務・常務等の肩書を有している役員も使用人兼務役員になれません。

次に使用人兼務役員に対して支給する賞与は、次の一定要件を満たせば損金算入されます。

1、従業員と同じ時期に支給されていること

2、支給額が他の使用人の賞与に比して妥当であること

3、費用として損金経理すること

この様に役員であっても使用人兼務役員であれば、役員に対する賞与のうち損金算入されますので、有効な節税手段として使えます。

(2)妻に出す賞与

決算対策で社長の妻に決算賞与を支給する場合に妻を役員とみなされると役員賞与で損金不算入となります。

そこで、妻を役員とみなされない方法を検討してみましょう。

税務上、役員とみなされる場合は次のいずれかに該当する場合です。

・法人の使用人以外の者で、その法人の経営に従事している者(相談役・顧問等)

・同族会社の使用人のうち持株割合が5%を超える者で、一定要件に該当しその法人の経営に従事している者

上記の要件のうち持株割合をクリアしていても、次の様なケースで経営に従事していると認められた場合には役員とみなされますので、社長の妻であっても使用人の職務にのみ従事させる事が必要です。

<経営に従事している例>

1、販売価額、仕入数量・価額の決定

2、資金調達や返済条件等の決定

3、従業員の採用、異動等の決定

(3)決算賞与を未払計上

決算で利益が上がりそうな時にその利益を社員に分配する目的で決算賞与を出す事は、社員の労働意欲向上の上でも有効な手段です。

しかし、決算賞与を支給しようと決めても資金繰りの都合上決算日までに支給できないケースがあります。

その場合には、期末に未払賞与で損金に計上する方法をとります。この場合、翌期開始後1ヶ月以内に支給する事が条件となります。

また、期末に支払債務が確定した事の証明として各従業員に通知する必要があります。