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マイナンバーでキャバクラ等ホステスの報酬収入がバレてしまう?

金曜日, 11月 6th, 2015

マイナンバー制度が導入され、自分の夜の仕事の収入がオープンにされて、所得税、住民税、社会保険(国民健康保険)がかかってしまうのではないか?

そして、夜の仕事をしている事自体が、昼の職場にバレてしまうのではないか?

そんな不安を抱えてビクビク心配しているホステスさんが多くいるとよく耳にします。

 

【報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書】

《提出する必要がある方》

所得税法第204条第1項各号並びに所得税法第174条第10号及び租税特別措置法第41条20に規定されている報酬、料金、契約金及び賞金を支払った方です。

バー、キャバレー等のホステス、バンケットホステス、コンパニオン等の報酬、料金のその年中の支払合計額が50万円を超えるもの

 

《ホステスさんの報酬から差し引く源泉徴収税額の計算方法》

ホステスさんは、給与所得ではなく、報酬扱いになり、下記の計算方法になります。

区分 左の報酬・料金に該当するもの 源泉徴収する所得税の額 左の報酬・料金に類似するが該当しないもの
ホステス、バンケットホステス・コンパニオン等の業務に関する報酬・料金
(1)  キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客にダンスをさせ、又は客に接待をして遊興や飲食をさせるものにおいて、客に侍してその接待をすることを業務とするホステスその他の人のその業務に関する報酬・料金
(2)  ホテル、旅館、飲食店その他飲食をする場所(臨時に設けられたものを含みます。)で行われる飲食を伴うパーティー等の会合において、専ら接待等の役務の提供を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオン等のその業務に関する報酬・料金
(左の報酬・料金の額-控除金額※)× 10%

控除金額……同一人に対し1回に支払われる金額について、5,000 円にその支払金額の計算期間の日数を乗じて計算した金額(別に給与の支払をする場合には、その計算した金額からその計算期間の給与の額を控除した残額)
芸妓の業務に関する報酬・料金

 

【マイナンバー導入前と導入後】

提出義務がある方は、その年中の支払合計額が50万円を超えるもの、とあります。

マイナンバー制度が導入されても、導入前であっても、その年中の報酬が50万円を超えれば、支払調書を税務署に提出する必要があるわけです。

そして、マイナンバー制度が定着し、所轄の税務署と市区町村との情報共有が簡単になり、個人の所得がナンバーを通じてすぐに判明するというわけなのです(その予定なのです)。

しかし、マイナンバー制度導入前であっても、50万円以上の報酬の場合、支払調書を提出する義務があるわけですから、提出していれば、ホステスの報酬は税務署に把握されます。そして、市区町村と税務署が問い合わせを互いに行い、情報共有すれば、マイナンバーがなくても、所得全体は把握され、住民税も課税されるというわけです。

そもそも、今、「夜の仕事で得た所得がバレたらどうしよう、、」と不安に思われている方は、今はバレていないという方です。ということは、支払調書の提出そのものが今現在は、なされていない可能性が高いといえます。

顧問の税理士事務所もお店のオーナーの個人の確定申告、消費税申告、源泉所得税の納付はしていても、、ホステス全ての方の支払調書の提出を省略している可能性が多くあるように思われます。

大型店では、体験入店で数日間しか報酬の支払いがないホステス等も含めると、計算は大変な事務作業となります。

マイナンバー制度がどのような形で導入され、定着するのかどうか不明ですが、、支払調書そのものの提出がされなければ、ホステス報酬の所得が把握される可能性は低いと思われます。マイナンバー制度以前の問題です。

 

 

【所得税の確定申告を行い、住民税を普通徴収にしても完璧ではない】

ホステスなど夜の仕事以外にも、副業をしていることが本業の職場にバレないようにするためには、個人の確定申告書で住民税の納付を普通徴収(自分で納付する)を選択すれば大丈夫!という税理士もいます。

しかし、これは完璧であるとはいえません。住民税の納付方法で普通徴収を選んだとしても、副業をしていることがバレてしまう可能性も十分あるので注意して下さい。

 

《住民税の普通徴収と特別徴収》

住民税の納税方法には、普通徴収と特別徴収の2つの方法があります。

①普通徴収とは、住民税を「自分で支払う方法」のことをいいます。

②特別徴収とは、勤め先の会社が給与支給時に給与から天引きして、本人に代わって納付する方法です。

一般的にサラリーマンは、給与から源泉所得税と住民税の他、社会保険料(厚生年金・健康保険料)が差し引かれています。会社が社員全員分を納付しているわけです。これが特別徴収です。

[副業の住民税を普通徴収を選択する]

副業をして儲けが出ると、個人の所得税の確定申告をして所得税を支払います。

そして、問題は住民税の納付方法です。

もちろん、給料から天引きしてもらうこともできますが、本業の給与に対する住民税の他に、副業の住民税が加算されれば、会社の経理担当者は、「どうしてこの人は、他の社員に比べて住民税がこんなに多いんだろうか?」と思われて、そこから本業以外の副業がバレてしまうことがあります。

そこで、本業の給料から天引きしてもらうのは、「給料に対する住民税」のみにして、副業に対する住民税は、自分で納める方法を選択します。

給与に対する住民税=特別徴収、副業に対する住民税=普通徴収、とするわけです。

[確定申告書の二表でチェック]

確定申告書の第二表の左下に「住民税に関する事項」があります。

①自分で納付

②給与から差し引き

の二つがありますので、①自分で納付を選択します。

そうすれば、住民税の納付は普通徴収になるので会社に住民税の金額がバレなくて済む?という考え方です。

[副業収入が給与としてもらうものは意味がない]

ただし、「住民税に関する事項」には、給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法」と記載があります。

つまり、給料としてもらうものについては、ここでいくら①自分で納付(普通徴収)を選択しても意味がないわけです。副業でもらった給料に対する住民税も自分の勤め先の会社に連絡が入り、副業をしていることがバレてしまいます。

※ホステスの報酬は、給与ではありません。店側(オーナー)は、消費税の納付額を抑えるためにも、ホステスへの支払いは報酬(外注)として処理しています。

 

《個人の所得税の確定申告書は税務署から市区町村へ》

個人の所得税確定申告書は、翌年の3月15日までに税務署に提出します。

納税者は、市区町村には何も提出する必要はありません。提出しなくても、住民税納付額が計算され、決定されるのは、税務署から各市区町村に確定申告書データが送られているからです。

確定申告書第二表の住民税の納付方法を普通徴収を選択したとしても、確定申告書の提出があった時点で市区町村は納税者の全ての所得を把握できるわけです。

会社の経理担当者から住民税の金額等について問い合わせがあれば、(市区町村担当者がどこまで回答するかどうかは別として)本業以外の副業がバレてしまっても不思議ではありません。